この記事を読むとわかること
・2乗、3乗、4乗のシグマ公式と証明
・4乗のシグマ公式は入試では絶対に使わない
・連続整数の積のシグマには和の中抜けが使える
シグマの公式の証明(2乗、3乗、4乗)
k=1∑nk2=61n(n+1)(2n+1)
k=1∑nk3=41n2(n+1)2
k=1∑nk4=301n(n+1)(2n+1)(3n2+3n−1)
これらの公式を証明していきましょう!
シグマ記号の意味からしっかり学びたいという人には、こちらの記事がおすすめです。
∑k=1nk2=61n(n+1)(2n+1)の証明
k=1∑n{(k+1)3−k3}=k=1∑n(3k2+3k+1)
この左辺について、
==k=1∑n{(k+1)3−k3}(n+1)3−n3+n3−⋯+23−13(n+1)3−1右辺について、
=k=1∑n(3k2+3k+1)3k=1∑nk2+23n(n+1)+nしたがって、
⇔(n+1)3−1=3k=1∑nk2+23n(n+1)+nk=1∑nk2=61n(n+1)(2n+1)
証明全体の流れは、∑k=1n{(k+1)3−k3}を和の中抜けと、展開してから公式を使うものの2通りによって求めるという感じになります。
和の中抜けって何?という方はこちらの記事を読んでください。
和の中抜けとは?分数や連続整数の積の総和を求める方法を例題付きで紹介!
3乗のときも4乗のときもこれと全く同様に証明をすることができます。よって、順に計算していけば何乗であっても自力で求められることがわかると思います。
∑k=1nk3=41n2(n+1)2の証明
この左辺について、
==k=1∑n{(k+1)4−k4}(n+1)4−n4+n4−⋯+24−14(n+1)4−1
右辺について、
=k=1∑n(4k3+6k2+4k+1)4k=1∑nk3+n(n+1)(2n+1)+2n(n+1)+n
したがって、
⇔(n+1)4−1=4k=1∑nk3+n(n+1)(2n+1)+2n(n+1)+nk=1∑nk3=41n2(n+1)2
2乗の時の公式を知っていれば、2乗のときと全く同様に示せることがわかると思います。
∑k=1nk4=301n(n+1)(2n+1)(3n2+3n−1)の証明
この左辺について、
==k=1∑n{(k+1)5−k5}(n+1)5−n5+n5−⋯+25−15(n+1)5−1
右辺について、
=k=1∑n(5k4+10k3+10k2+5k+1)5k=1∑nk4+25n2(n+1)2+35n(n+1)(2n+1)+25n(n+1)+n
したがって、
結果を知っていれば数学的帰納法でも証明できる
上の説明は証明というより導出といった感じの記述になりますが、もともと結果を知っているのであれば、当然数学的帰納法で証明することが可能です。数学的帰納法については以下の記事で詳しく説明しています。
数学的帰納法とは?入試問題付きで全5パターンをわかりやすく解説!
3乗の場合で以下に証明の例を挙げてみます。
k=1∑nk3=41n2(n+1)2であることを数学的帰納法によって証明する。
(i)n=1のとき、
k=1∑1k3=1
4112(1+1)2=1
よりたしかに成立する。
(ii)n=m(mは自然数)のとき成立すると仮定すると、
k=1∑m+1k3==41m2(m+1)2+(m+1)341(m+1)2(m+2)2
であるので、n=m+1のときも成立する。
したがって、題意成立。
数学的帰納法でも簡単に示すことができましたね。
【注意】シグマの公式使わずに済むときを見抜こう
k,k2,k3などのシグマが出てきたらすぐに公式を使おうと考えてしまいがちですが、公式を用いなくとも解けてしまうときというのがしばしばあります。それについて説明していこうと思います。
シグマの4乗の公式を入試で使うときは絶対にない
まず、大原則として、シグマの4乗の公式を入試で使わなければいけなくなるという場面は一切ありません。上では公式として紹介したものの、高校では習わないため、入試問題を解く際に4乗公式を使う場面はあってはなりません。
ここで、以下の問題を考えてみましょう。
k=1∑nk(k+1)(k+2)(k+3)
これを計算せよ。
この問題を初見で解く受験生はついつい、
=k=1∑nk(k+1)(k+2)(k+3)k=1∑n(k4+6k3+11k2+6k)
と展開してからシグマ公式を使って計算しようとしてしまいがちです。
先ほども言ったように、4乗のシグマ公式を使う場面は入試では一切ありませんから、他の解法を考えなければなりません。
連続整数の積のシグマは和の中抜けが使える
実は、連続整数の積のシグマは上手い変形をすることによって和の中抜けを用いて計算することができます。
連続整数の積のシグマは、1つ前をかけたものと1つ後をかけたものの差を考えることによって、和の中抜けが使える
これだと何を言ってるかわからないですよね。実際に上の問題を解いてみましょう。
k(k+1)(k+2)(k+3)の1つ前というのは、k−1のこと、1つ後というのはk+4のことを指します。これらをかけたものの差というのは、
のことです。この式は、k(k+1)(k+2)(k+3)の部分が共通していることに注目すれば、
とも表せます。
よって、
と変形できます。したがって、和の中抜けによって、
と計算することができます。
まとめ
シグマの2乗、3乗、4乗の公式はすべて和の中抜けと公式の利用の2通りによって求めるという証明の流れをたどり、また、数学的帰納法によっても証明可能であることがわかったと思います。
連続整数の積のシグマは公式を使わずに求められるというのは、重要事項ですので、必ず頭に入れておきましょう!